私は、幼少のころから物を造っているところを時間が経つのも忘れ見ていることが好きな子供でした。父が大正生まれで当時の人は大工仕事も多少でき、親戚や知り合いの家、近所で家を建てるときなどは手伝いに行くという習慣がありました。当時、父が柱にカンナを掛けている姿を興味深く見ていた記憶があります。
結婚、出産を期に仕事から離れていた私ですが、30歳を迎える頃子育が少し楽になり始めたこともあり本格的に仕事復帰を考えるようになりました。独身の頃にやっていたグラフィックデザインの仕事も魅力的でしたが、チラシやポスターなどの印刷物が主だったため『いつかは破棄されカタチとして残ることがない。』という寂しさを当時は感じていました。
子供の時は見ているだけでしたが、好きだった物づくりと大人になってから仕事としていたデザイン力を生かし、カタチに残る仕事として『家や空間を設計・デザインしたい』との思いから、建築設計事務所の面接を受け熱意が伝わり採用してもらえることに。建築設計の補助を経て建築設計及び施工管理を経験し20年ほどが過ぎたころ、知り合いから『リフォーム工事のノウハウの指導ができる人材を住宅機器メーカーの人が探している』とその人を紹介されその住宅設備機器メーカーに入社。4年と短い期間でしたが人材も育ち、個人的にも商品知識を得ることができ充実した期間となりました。
住宅機器メーカーにいた期間もエンドユーザーのお客様と直接話をする機会がありました。建築知識や商品知識の少ないお客様にとっては、リフォームやリノベーションのイメージを工事店の人に上手に伝えることが難しいと感じる方も多く、打ち合わせの席に同席を求められアドバイスすることも多々ありました。そこで、お客様の『理想とする住まいのイメージをカタチに変えていく』という楽しさを知ることとなり、これまで培ったノウハウを生かし『自分にしかできないお客様に寄り添った住まいづくり』を実現するために独立し現在に至ります。