ファミリークローゼットどこで着替える?おすすめ有効活用アイデア

近年、ライフスタイルの多様化と家族の生活様式の変化に伴い、収納に対するニーズが高っています。その中でも注目を集めているのが『ファミリークローゼット』です。衣類や日用品を一つの大きな収納スペースにまとめて収納する方法で、効率的かつ使いやすい収納方法として整理整頓に役立っています。家族ごとに異なる生活スタイルに合わせた、快適な収納空間の提供が求められる中で、ファミリークローゼットは重要な要素として積極的に取り入れられています。本記事ではファミリークローゼットのメリットと計画する際の注意点、有効な活用アイデアについて詳しく見ていきます。


≪目次≫

1.ファミリークローゼットのメリット

2.ファミリークローゼットを計画する際の注意点

3.ファミリークローゼットを有効活用しよう!

4.Q&A

5.まとめ




1.ファミリークローゼットのメリット


①家事の効率化

ファミリークローゼットを設けることで、整理や収納の手間が省けます。 家族全員が共用のクローゼットを使うため、衣類の交換や取り出しが簡単です。例えば、子供の成長に合わせて衣服を交換する場合や、洗濯物などそれぞれの部屋に持ち運ぶ必要が無く、家族全員の衣類を一度に整理でき家事の時間短縮ができます。


②整理整頓がしやすい

ファミリークローゼットの最大の利点は、収納の効率性と家族全員が使いやすい点です。まず、同じ場所に保管されることで、計画的に収納できるため一元管理ができ、物の出し入れがスムーズになり、散らかりにくく整理整頓がしやすくなるというメリットがあります。


③一括で管理できる

従来のクローゼットが各部屋ごとに設置されていたのに対し、ファミリークローゼットは家全体の収納を効率よく保管することを目的としたクローゼットです。衣類やバッグ、靴、さらにはタオルやベッドシーツなど、家庭内で使う日用品を一括で管理できる点が特徴です。共有することによって物の管理が一元化され、物の買い足しだけでなく、不用品の処分なども計画的にできスペースを有効活用することが出来ます。


④不要な家具を減らし、スッキリとした空間になる

家族全員の衣類を一元管理できるため、限られたスペースを最大限に活用できます。各部屋にクローゼットを造ったりタンスなどを置く代わりに、大きな一つのスペースで整理することで、不要な家具を減らすことができスッキリとした空間にすることが出来ます。


⑤統一感のある安定したインテリア空間にできる

ファミリークローゼットは、家族全員が共通のスペースで衣類を管理するため、収納する物の管理が容易になり、ほかの部屋が物であふれたりするのを抑えてくれます。そのため、各部屋ごとの収納スタイルやインテリアのバラツキを抑えられるので、家全体に統一感ができ安定したインテリア空間を造ることが出来ます。



2.ファミリークローゼットを計画する際の注意点


①生活スタイルに合わせて計画

ファミリークローゼットは、家の間取り家族の生活スタイルに合わせて計画することが重要です。 クローゼット内には、衣類の収納に加え、アクセサリーや靴、カバンなどをしっかり収納するための引出しや棚を設置しますが、家族みんなが使うため、上下の収納スペースにアクセスしやすい高さを考慮することが大切です。 ドアの開け方や収納場所の配置や、さらには照明の工夫も重要な要素となります。


②生活動線と家事動線を考慮して配置

ファミリークローゼットの設置には、生活動線と家事動線を考慮して配置する必要があります。たとえば、ランドリスペースへの家事動線を考慮しながら、寝室または子供部屋から洗面所への生活動線上に設置することで、日々の衣類の収納に適した場所となります。また、クローゼットの内部は、可動棚やハンガーパイプ、引き出しを組み合わせて、収納物を効率よく整理できるように設計します。


③着替える場所

生活動線や家事の効率の点から見て、着替える場所は、『ファミリークローゼット内』が理想的です。ただし、『着替える時間帯が同じ』場合は、家族間でのプライバシーを保つことが難しいというデメリットがあります。 『着替えは自室でしたい』という場合は、寝室や子供部屋に近い位置にファミリークローゼットがあると取りに行く手間を減らせるので便利ですが、入浴時などは、洗面室に近いほうが便利な場合があるので、入浴後の下着やパジャマ用にサブクローゼットを設けるのもひとつです。


④変色、ほこり、湿度によるカビの発生

ファミリークローゼットはオープン収納に近い側面があり、ホコリや衣類の変色などに注意が必要です。ホコリや変色を防ぐには、ファミリークローゼットに『窓は設けない』のがベスト。また、湿度によるカビの発生を防ぐため換気扇を設置します。仮に窓がある場合でも、窓だけでは空気が滞留しやすく換気が不十分なので、換気扇を利用し計画的に換気する必要があります。




3.ファミリークローゼットを有効活用しよう!


①収納方法の工夫

ファミリークローゼットを有効に活用するためには、収納の工夫が欠かせません。例えば、ハンガーパイプを二段に設置し、衣類を上下に分けて収納することで、スペースを有効に使えます。引き出しやバスケットを活用して、小物やアクセサリー、靴などを整理する収納ボックスや仕切りを使って、衣類を季節ごとに分類したり、家族ごとに分けて収納することも一つのアイデアです。 さらに、クローゼット内に小さな棚を設け、バッグや帽子を飾ることで、収納力だけでなく、インテリア性も高めることができます。


②収納スペースを区分け

ファミリークローゼットは便利な点が多く、また、いくつかの問題点も存在します。例えば、家族全員が同じスペースを共有するため、収納量には個人差があり整理整頓が難しい場合もあります。この問題を解決するためには、収納ペースを区分けして、各自のスペースを明確にすることが有効です。また、クローゼット内の収納アイテムを定期的に整理し、不要な物を処分することも大切です。収納方法を意識し、より良い工夫を行うことで、快適に利用できるようになります。


③子供の成長に合わせたプランニング

小さなお子様がいるご家庭の場合、子供の成長に合わせ柔軟に対応できるよう計画する必要性があります。こどもが小学校の低学年まではリビングが中心とした生活になるため、ファミリークローゼットはリビングに隣接して設置するのもお薦めです。特に幼少期は着替えなども全てリビングが中心になるため、育児をしながら家事をする上でとても便利です。ただし、お子さんが高校生、大学生になるころには、自室にいる時間も長くなる傾向にあり、また、プライバシーなどの観点から、子供部屋に近いほうがアクセスしやすく便利だったりするため、費用を掛けずにファミリークローゼットの位置を変えられるよう計画するといいでしょう。


④窓を無くし、センサー付き換気扇を設置

窓からの土埃の侵入を防ぐと共に、紫外線による衣類などの変色を防ぐために、ファミリークローゼットに窓は設けないほうがいいでしょう。湿度によるカビなどの発生を防ぐために、換気扇を取り付けます。仮に十分な大きさの窓がある場合でも、窓だけの換気では、空気が滞留しがちで換気が不十分となるため、換気扇を使ってしっかり換気するようにします。


③ランドリールーム兼用とする場合

ファミリークローゼットをランドリールーム兼用として使用することも出来ますが、換気扇の風量が十分なものを選び、洗濯物がしっかり乾くまで換気扇を連続運転させる必要性があります。電気代が気になるのであれば、湿度を感知してON,OFFしてくれるセンサーが付いた換気扇を付けるといいでしょう。リビングから洗面室へと通り抜けられるよう、ファミリークローゼットが洗面室に扉1枚で接している場合は、浴室の湿気がファミリークローゼット内に流れ込まないよう、換気扇の風量は”浴室>ファミリークローゼット”になるよう、浴室の換気量が大きくなるよう計画し、浴室の換気扇は浴室内が完全に乾くまで連続で換気するようにします。


④簡単収納を心がける

家族の他のメンバーが使っていた物の場所を確認しやすいという点も、ファミリークローゼットの大きな利点ですが、快適な収納を長続きさせるには、『見つけやすい、取り出しやすい、仕舞いやすい』家族全員が使いやすい簡単な収納にすることが大切です。

ケースに入れて収納する場合は、透明、半透明のケースに入れるなどの工夫をすることで物を見つけやすくなります。衣類は畳まずハンガーに掛けたまま収納することで、家事の負担を軽減することが出来、季節ごとの衣替えも、ハンガーを掛けるスペースを移動し、その上からカバーをかけるだけで誰でも簡単に収納することが出来ます。


⑤使わない物は定期的に処分

まだ着れる服や壊れていない物を処分する際、罪悪感を感じたり、勿体ないと躊躇してしまう方もいるでしょう。ただし、そのために物があふれてしまい整理整頓ができず、生活が不便になってはいけません。食器やシーツ、タオルなどの贈答品で3年以上使っていない物は、今後も使うことは皆無です。仮に処分しても今の生活に支障をきたすことは無いので、『整理整頓して快適に生活するために!』と、思い切って処分するようにしましょう。洋服などは、シーズンごとに買うという方は前の年に着なかったもの、気に入ったものがあれば買うという方は3年~5年ごとに、その間に着なかったものは処分するなど、期限を決めて処分するようにしましょう。




4.Q&A


疑問:ファミリークローゼットはどの場所に作るのが理想的ですか?

回答:寝室から洗面室への生活動線とランドリースペースへの家事動線上で、寝室の近くに計画するのが理想的です。小さなお子様がいるご家庭の場合は、リビングの近くにあると、子供にも目が行き届き家事もスムーズになります。その場合、お子様の成長に合わせ位置を変えられるよう計画するといいでしょう。


疑問:収納スペースを最大限に活用するためにはどのような工夫が必要ですか?

回答:収納する物は季節や子供の成長などよって変化するので、収納量や区分けなどの変動に対応できるよう、棚は可動式にして収納ケースやカゴなどを使い収納するといいでしょう。なお、収納ケースを購入する前に、捨てる予定の段ボールなどを使って収納のシュミレーションを何度か繰り返すとイメージがつきやすく、購入したものが無駄になってしまうという失敗を防ぐことが出来ます。


疑問:ファミリークローゼットはどれくらいの広さが必要ですか?

回答:ファミリークローゼットに必要な広さは家庭ごとに違いますが、おおよその目安として、現在の収納量が、押入またはクローゼット(1畳サイズ)の収納が3か所、洋服ダンス(大)が2つ、整理ダンス(中)が2つ程度あるとして、押れとクローゼット内の物は処分する物と各部屋に振り分ける物を半分程度と考えた場合、衣類などは畳み、他の物も隙間なく収納する場合で4畳程度、洋服はハンガーに掛け、ほかの物も見やすいよう適度に間隔をあけて収納場合は6畳程度は必要です。


疑問:ファミリークローゼットに必要な照明はどのようなものが良いですか?

回答:収納する際に物がぶつからない様、ダウンライトが適しています。また、荷物によって照明の光が届かないといったことが無いよう適切に設置します。


疑問:ファミリークローゼットはどこで着替えたらいいですか?

回答:着替えはファミリークローゼット内でするのが理想的です。プライバシーを考慮する場合は『内側から鍵を掛けられるようにする』『着替えるスペースをカーテンなどで仕切る』などが有効です。思春期以降のお子様がいる場合は、自分の部屋で着替えるケースが考えられるので、ファミリークローゼットの位置は洗面室と子供部屋の生活動線上で、子供部屋の近くが理想的です。




5.まとめ

家族全員の衣類や生活用品を一箇所に置いて管理するファミリークローゼットは、便利で効率的な収納スペースを提供します。しかし、設計に失敗すると逆に不便な空間になってしまいます。ファミリークローゼットの計画を始める前に、家族全員の衣類の量や種類、収納方法を把握することが重要です。例えば、子供の衣類は成長に伴って変化するために、今後のサイズ変更にも対応できる収納スペースが求められます。また、季節ごとの衣替えや頻繁に使うアイテムをどう整理するかが重要となります。家族の共有スペースなので、分かりやすく使いやすい収納にするためには、家族全員でしっかり話し合うことが大切です。



★ご挨拶★

三浦建築設計事務所は住宅に特化したリノベーションおよびフルリフォーム工事を得意としています。生活動線や作業動線を考えた間取りのご提案はもちろん。使いやすさや掃除のしやすさなど、家事や育児などの大変さを実際に経験した女性建築士だからこそできるご提案は工事をしていただいた皆様からご好評をいただいております。お住まいに関するお悩みなど、ご遠慮なくご相談ください。