キッチンの高さは80cmがベスト?90cmだと高すぎるわけとは?

収納たっぷりで無駄なく動けお手入れのしやすいキッチンは誰もが憧れるものです。キッチンの広さが十分で収納スペースがしっかり取れる場合でも悩みますが、限られたスペースとなると選ぶのがとても難しくなります。『何をどこにどのように収納しよう・・・』『食洗機やガスコンロはどんなものを選べいい?』などと迷ってしまう方も多く、3社以上のショールームを観に行く方や、同じショールームに2度3度と足を運ばれる方もいらっしゃいます。すべてのメーカーのキッチンを観て回ることは時間的にも体力的にも難しいので、そういった方のためにいくつか選ぶ際の基本と選ぶポイントをご紹介させていただきます。


≪目次≫

1.キッチン選びの基本

2.主な引出しタイプキッチンの収納の違い

3.キッチン選びのポイント

4.キッチン選びでよくある質問



1.キッチン選びの基本


①疲れないキッチンはワークトップの高さ

ワークトップとはコンロ台や調理台の上に取り付けられた天板のこと。ワークトップが低いと作業の際に姿勢が前かがみになってしまうため腰への負担が大きくなります。特に洗い物などをする場合はより前傾姿勢になり短時間の作業でも腰が痛くなってしまうことがあります。逆に、高すぎると固い物をカットする際に包丁に上手く力を入れることができません。また、炒め物を作るとき鍋が振りづらく手首に負担がかかってしまいます。疲れを感じないキッチン選びで一番重要な項目がワークトップの高さです。


◇自分に合ったカウンタートップの高さ◇

前かがみの姿勢はまっすぐに立った状態に比べ腰への負担が1.5倍

カウンター高さの目安は 身長÷2+5cm

例)身長158cmの場合、158cm÷2+5cm=84cmとなります。


標準的なワークトップの高さは85cmとなっていますが、多くの商品が高さ80cm,85cm,90cmの3種類の中から選べるようになっています。また、80cm,82cm,85cm,88cm,90cmの5種類の中から選べるメーカーや1cmきざみのジャストサイズの高さを選べるメーカーなどもあります。基本的にワークトップの高さによって価格が高くなることは無いので、自分に合った高さのキッチンを選びましょう。

ワークトップの高さを体感していただくために各メーカーのショールームには高さの違う商品が展示してあります。ショールームでは靴を脱ぎスリッパに履き替え実際の高さを体感してみてください。



②使いやすさを長続きさせる秘訣

引き出しタイプのキッチンは開き扉のキッチンに比べ収納量が格段に多くなります。使いやすいキッチンの条件とは『必要なものが簡単に取りだせるキッチン。』ですが、使いやすさを長続きさせるには『自分に合った収納になっていて仕舞いやすいこと。』『ストック品など在庫確認が簡単にできること。』この2点が重要となります。

お鍋の数やその大きさ、調味料の種類やそのサイズ、ストック品の種類やその量などは家庭によって違います。収納の仕方も容器などに入れ替え材料ごとに収納ケースに分別して収納する方。入れ替える時間が無いのでパーッケージごとざっくりと収納して使うという方もいらっしゃいます。キッチンに合わせて収納するという方法は長続きしません。『何をどこにしまったか分からなくなり、取り出しに時間がかかる。』『ストック品の管理ができすに賞味期限が過ぎてしまった。』といったことが起こります。



2.主な引き出しタイプキッチンの収納の違い


注)調理台を基本に上段、中段、下段とここでは紹介しています。同じく、引き出しの深さも調理台の引き出し深さを記載してあります。また、深さはメーカーや機種によって異なります。


タイプ① 中段が深く、下段が浅いタイプ

【上段】深さ約10~13cm、お箸やスプーンなど小物の収納に適しています。

【中段】深さ約32~38cm、1.3ℓのサラダオイル、1ℓの醤油やみりん、30cmのフライパンは立てた状態で収納することもできます。収納量を増やしたい方にはオプションで内引き出しやスライド式の棚板を設置することもできるよう設計されていている機種もあります。

【下段】深さ14~20cm ホットプレートや土鍋、缶詰などのストック品などの収納に適しています。500㎖(機種により350㎖)缶飲料やパック入りのレトルト品なども立てて収納できるので在庫管理がしやすいのがメリットです。ただし、しゃがみ込まないと取り出せないので頻繁に使うものの収納にはあまり向いていません。


◆こんな方におススメ◆

500㎖(350㎖)缶入り飲料、缶詰やレトルトなどのストック品が多い方。容器に入れ替え、種類ごとに収納ケースなどに分別してたくさん収納したい方。


タイプ② 下段が深め、中段も適度な高さがあるタイプ

【上段】深さ約10~14cm、お箸やスプーンなど小物の収納に適しています。

【中段】深さ約23~24cm、取り出しやすい高さに設計されているので砂糖や塩、コショウなど頻繁に使うものの収納に適しています。適度な深さがあるのできざみ海苔や煎りゴマなどパッケージのまま収納して取り出し『彩にさっとひと振り。』といった使い方もできます。オプションで内引き出しをセットすると収納量がUPします。

【下段】深さ約30cm、1.3ℓのサラダオイル、1ℓのお醤油やみりん、28cmのフライパンなら立て入入れることもできます。引手の部分がひざ下15cm程度の高さなのでしゃがみ込むことなく取りだすことができ、毎日使うものの収納にも適しています。収納量はタイプ①と比べ多くありませんが収納の自由度が高いのがこのタイプのキッチンの良さです。


◆こんな方におススメ◆

ストック品がそれほど多くなく、乾燥わかめやきざみ海苔、煎りゴマなどパッケージのままざっくりと収納してそのまま使いたい方。頂きものなどが多く収納するものが変化する方。


タイプ③ 下段が深く、中段が浅めのタイプ

【上段】深さ約10、お箸やスプーンなど小物の収納に適しています。

【中段】深さ約21cm、 取出しやすい高さに設計されているので調味料など頻繁に使うものの収納に適しています。手前11.5cmまたは21.5cmまでは深さが約32cmあるため手前1列は1.3ℓサラダオイル、1ℓの醤油やみりんなども入れられるようになっています。※通常上段にある10cm程度の浅い引き出しが内引き出しとてセットされています。

【下段】深さ約32cm、30cmのフライパンなら立てて入れることができます。引手の部分がひざ下15cm程度なのでしゃがみ込むことなく取り出せ毎日使うのものの収納にも適しています。オプションで内引き出しをセットできる機種もあります。①、②に比べ収納量は少なめですが背の高いものをたくさん収納することができるのがメリットです。


◆こんな方におススメ◆

パスタをゆでる寸胴鍋(中サイズ)、ミキサー(中サイズ)などの少し背の高い調理家電、自家製の梅酒や2ℓペットボトル入りの水などの背の高い物を多く収納したい方。



3.キッチン選びのポイント


①キッチン本体の素材の選びかた

価格がお手頃ということもあり木製のものが一番多く流通しています。木製キッチンは15年を過ぎたころからキズや汚れが目立ってきます。少し価格が高くなりますがステンレス製は耐久性だけでなく臭いや汚れが付きづらい。ホーロー製はキズや汚れが付きづらいといった特徴を持っているので臭いや汚れ、キズを防ぎ長く使いたいという方におすすめです。

ただし、最近ではデザインの古さなどからキッチンを交換される方も多くなってきているので『30年後にまたリフォームをする。』ということを前提に考えた場合、耐久性にこだわる必要はないかもしれません。


②シンクと水栓選びのポイント

シンクにあたる水撥ね音でリビングにいる家族との会話がかき消されることがあります。少しでも軽減できるよう防音性能のあるシンクを選びましょう。水栓に拡散シャワーや微細シャワー機能がついていると水撥ねを軽減するだけでなく音も軽減することができます。

③食洗機選びのポイント

食洗機から洗浄BOXをスライドさせて引き出し洗い物を上から出し入れるするスライドタイプと、扉を手前に倒し中の洗いカゴを引き出して洗い物を上、前面、両サイドから出し入れできるフロントオープンタイプでは、出し入れのしやすさでフロントオープンがおすすめです。ただし、作業スペースが限られる場合は、コンパクトに出し入れできるスライドタイプにしたほうがいい場合があります。

④IHとガスコンロ選びのポイント

ガスコンロはお鍋を置くゴトク廻りとグリル内の焼き網の掃除が面倒です。ホーロートップはバーナーリングが一体成型されたもの、ガラストップなどの場合はすき間が無く焦げ付きづらい構造になったものがおすすめです。グリル部分はグリル専用プレートが付いているとお掃除が楽になります。

IHは手前の2口がIHで奥の一口がラジエントヒーターになっているものは海苔をあぶったり餅を焼いたりしたい方にお薦めですが、ラジエントヒーター部分は熱くなるので火傷の危険性があります。安全性や清掃性で3口ともIHになっているものがおすすめです。過熱水蒸気調理やノンフライ料理できたり、電子レンジ機能を搭載しているものまで登場しています。

IHやガスコンロの耐久年数は10年~15年といわれているので、搭載されている機能をどの程度使うかといった費用対効果で選ぶことも大切です。


⑤レンジフード選びのポイント

炒め物や揚げ物をした際水蒸気と一緒に舞い上がった油煙が、換気扇内部の排気ファンにつかないようカットするために取り付けられているフィルターですが、フィルターの掃除が面倒という声をもとに開発されたのがフィルターレスレンジフード。フィルターの役目も持ち排気をよくするために取り付けられている整流板(平らな板)は拭くだけで油汚れを取ることができます。

整流板で全ての油煙をカットすることはできないので年に数回ですが内部の排気ファンの清掃が必要になります。背の低い方は踏み台がないとうまくファンの脱着ができないのでワンタッチで外せるものがお薦めです。予算に少し余裕があるならファンの掃除を自動でしてくれるものや油煙の内部へ侵入を98%カットしファンの掃除の必要が無いものもあるので検討してみて下い。



4.キッチン選びでよくある質問


①食洗機はあった方がいい?

はじめて食洗機の設置を検討される方、特に少人数のご家庭の場合は最後まで迷うのが食洗機です。食洗機はお水の量を大きく節約することができるので手洗いよりも経済的です。食事をする時間帯がバラバラといった場合でも、音が比較的静かなのでまとめて夜の間に洗うということもできます。(マンションなどの場合は静音設計の物がおすすめです。)実際に食洗機を使っている方は『便利で手放せない。つぎも設置したい。』という方がほとんどです。


②IHそれともガスコンロ?

IHも技術革新が進みいまでは炒め物もしっかりできます。鍋をそのものを温めるのでエネルギーロスが少なくガスと比べ半分の速さでお湯を沸かすことができるという利点もあります。安全性と掃除のしやすさでIHを選ぶ方の割合が年々増える傾向にあり、現在その普及率は約20%5軒に1軒の割合となってます。

電気代が気になるところですが、電気料金31円/kWh、4人家族で朝昼夕と一般的なメニューで使用した場合で1,170円程度という試算(一般財団法人日本電機工業会)もありますので検討してみてください。


③キッチンリフォームのタイミングは?

キッチンをリフォームするきっかけの多くが『コンロやレンジフードの寿命が近いので、キッチンも一緒に』という理由を上げる方が一番多く、『2年前コンロが壊れた時、一緒にやりたかったけど時間が無くてできなかった。』とおっしゃる方も結構な割合でいらっしゃいます。

キッチンは収納している物が多く『工事前のものの移動』『工事後の片付け』などには時間と体力が必要となります。キッチンのリフォームは計画を立てコンロなどが壊れる前にするのがベストです。


いつ、どのタイミングでやったらよさそうか、自分の理想のキッチンができるか、ご不安なことがございましたら、お気軽にお問い合わせください。


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★ご挨拶★

三浦建築設計事務所は住宅に特化したリノベーションおよびリフォーム工事を得意としています。作業動線を考えた間取りのご提案はもちろん。使いやすさや掃除のしやすさなど、家事や育児などの大変さを実際に経験した女性建築士だからこそできるご提案は工事をしていただいた皆様からご好評をいただいております。お住まいに関するお悩みなど、ご遠慮なくご相談ください。


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