マンション・戸建てのリフォームの注意点とは?建物によって注意すべきポイントが異なります



中古を購入してリフォーム(リノベーション)をするケースが増えていますが、リフォーム(リノベーション)をする際に内容によっては制限を受けることがあるので注意が必要です。

マンションの場合、躯体のコンクリート壁を解体することはできませんが、それ以外の室内の間仕切り壁は解体することが出来るので、間取り変更など自由度が高く、補強等の必要もないため費用が戸建より抑えられるのがマンションリフォーム(リノベーション)の魅力ですが、建物の構造的な部分以外でもマンションの規約によっても制限を受けることがあります。

戸建ての場合、増築する場合や屋根・外壁を張り替える場合など建築基準法を守る必要性があります。また、柱や壁の解体を伴う改築工事についても補強することで可能な場合と解体してはダメな場合があるので注意が必要です。



≪目次≫

1.リノベーションとは

2.スケルトンリフォームとは

3.フルリフォームとは

4.リフォーム(リノベーション)での注意点


1.リノベーションとは

住宅の改築や改装、特に内外装の改装に一般的に使われているリフォームという言葉ですが、英語でReform(リフォーム)は改宗・心を入れ替えるという意味合いが強く、建物の改修の意味にはあまり使われないようです。私たちが使っているリフォームは和製英語で、日本語の「住宅リフォーム」に相当する語は renovation(リノベーション)となります。日本国内においては外壁の塗り替えや壁紙の張替えなどの模様替えをリフォーム、解体工事を伴う間取りの変更や大規模な改修工事をリノベーションということが多いようです。


2.スケルトンリフォーム(スケルトンリノベーション)とは

大規模な改修工事において、木造住宅の柱・梁・土台だけの骨組みになった状態や鉄筋コンクリート造の躯体のコンクリートだけの状態を英語で"骨格”を意味する「スケルトン」、内装や設備等の部分を英語で"詰める”を意味する「インフィル」といいます。スケルトンリフォームまたはスケルトンリノベーションとは、スケルトンの状態にして内装や設備などを新しく作り直すことをいいます。


3.フルリフォーム(フルリノベーション)とは

住まい全体をリフォームするという意味で、上記のようにスケルトンにしてリフォーム(リノベーション)する場合から、キッチン・お風呂など水回り設備を全て交換し、すべての部屋の内装をきれいにリフォームする場合まで幅広く使われています。


4.リフォーム(リノベーション)での注意点


【マンションの場合】

マンションの場合、専有部分についてはリフォーム(リノベーション)は可能ですが、共有部分である玄関ドアやサッシなどはリフォームできません。古く汚れているからといって勝手に交換することはできません。意外に思われる方も多いと思いますが、ベランダも共有部になるので、物置やテラスを設置したりすることは基本できません。また、内装などについても階下への騒音防止などの観点から、床の遮音規約が定められている場合はそれに従う必要性があり、工法または使える材料が制限されることがあります。


①床の遮音規定

マンションの管理規約に床にLL45・LL-40といった遮音の規定がある場合は、適合する工法または材料を使用して施工する必要性があります。築浅のマンションなどで、フローリングの下地が遮音構造になっている場合は問題ありませんが、床スラブ(コンクリート)に直接フローリングが貼ってある場合は遮音性能のあるフロアー材を使って張り替えるか、遮音性のあるフロアー以外の物を使う場合は、床全体を上げてフローリングの下地を遮音構造にする必要性があり、前者と後者では費用が変わってきますので注意が必要です。


②IH

キッチンをリフォームする際にIHを検討する方も多いと思います。家族向けのIHは200Vが主流で、エアコンなどの同時使用を考慮すると最低でも40A以上にする必要性がありますが、マンション全体の供給量が決まっているため制限を受ける場合があります。特に古いマンションでは単相2線といいて100Vにしか対応できない場合があるので、事前にマンションの管理組合または、電力会社に確認をする必要性があります。


③ガス給湯器 

16号の給湯器では2か所以上の給湯に対応できないので、一番お湯を使いたい真冬に十分な量のお湯を使うことが出来ません。20号~24号の給湯器に変えることで出湯量を増やすことはできますが、マンション全体のガスの供給量が決まっているため給湯器の号数について制限を受ける場合があるので、事前にガス会社へ確認を取りましょう。特に中古の物件を購入される方は、既存の給湯器の使用年数、号数、追い炊き機能があるかなどの確認をしておきましょう。


④換気扇

コンクリート部分への穴あけは耐震的に問題が無い場合でも制限を受けます。キッチンやお風呂・洗面所・トイレの換気扇の排気用の穴は新しく開けることが出来ないので、既存の穴を使う必要性があります。マンションの場合、浴室と洗面所・トイレの排気が一緒になっているケースも多いので、その場合は交換可能な換気扇を選ぶ必要性があります。 


⑤玄関ドア

建物の外観への影響の観点から共有部となりますので、基本的にドアの交換や表面の塗装や化粧シートを張るなどのリフォームはできません。ただし、室内側については制限がありませんのでの塗装や化粧シートを張るなどのリフォームは可能です。


⑥サッシ

共有部のため制限を受けるので、基本的にサッシの交換することはできません。ただし、断熱対策でサッシの内側に内窓を設置することは可能です。


⑦ベランダ

専有使用権があるため専有部と勘違いする方が多いのですが、共有部のため制限を受けます。物置を設置したり、ガラスや樹脂パネルなどで囲ってサンルームにするなどはできません。また、ベランダが火災時の避難経路となっている場合は、非難の妨げになるものを置くことはできません。



【戸建住宅の場合】

間取り変更などで間仕切り壁を解体する場合は耐震強度を保つようにする必要があります。また、増築をする場合や外壁・屋根などを張り替える場合には、建築基準法に定められている基準に従わなければなりません。


①間取り変更

柱や建物を支えるため筋交が入った体力壁を撤去する場合は、強度を保つようにする必要性があり、補強のための費用負担が大きくなる場合があるので注意が必要です。特に、昔ながらの日本の柱と梁で組み上げられた構造と違い、アメリカ発祥の2×4(ツーバイフォー)住宅の場合は壁で建物を支える構造のため、壁を壊すことが出来ないので間取り変更をすることができません。


②増築

建物を建て増す場合だけでなく、ベランダやテラスを囲ってサンルームにする場合なども、建蔽率や容積率などの制限を受けるので注意がです。


③建築基準法違反になっている物件

建築基準法上、道路に2m以上接道していない場合、建物を建てることはできません。ただし、違法とわかっていながら既に建てられた建築物や後から違法に建て増しをして建蔽率や容積率をオーバーしてしまった建物でも、リフォーム(リノベーション)をすることはできますが、工事の内容によってはリフォーム(リノベーション)とは認められず、行政指導により工事が中止となってしまう場合があるので注意が必要です。




★ご挨拶★

三浦建築設計事務所は住宅に特化したリノベーションおよびリフォーム工事を得意としています。作業動線を考えた間取りのご提案はもちろん。使いやすさや掃除のしやすさなど、家事や育児などの大変さを実際に経験した女性建築士だからこそできるご提案は工事をしていただいた皆様からご好評をいただいております。お住まいに関するお悩みなど、ご遠慮なくご相談ください。