リフォーム工事の見積書は、工事にかかる費用を明確にするための重要な書類です。見積書の内容を正確に理解することで、工事の進行や予算管理をスムーズに行うことができます。以下に、建築工事見積書の一般的な項目と、その見方について説明します。
≪目次≫
1.建築部位の名称
2.建築に使われる用語
3.見積書の見方
4.見積書を見る上で大切なこと
5.契約前に確認すること
6.まとめ
1.建築部位の名称
リフォーム工事の見積書を理解するためには、工事の対象となる建築部位の名称を把握することが非常に重要です。これにより、工事内容や費用の内訳がより明確になります。以下に、リフォーム工事でよく登場する建築部位の名称を説明します。
【構造部】
日本の住宅で一番多い、在来木造工法(日本伝統の木造建築工法)では主に以下の名称が使われています。
≪基礎≫
布基礎(ぬのきそ): 家の周囲と内部に帯状に設置される基礎。主に柱を支えるために使われます。
べた基礎: 底全体がコンクリートで覆われた基礎で、地震に対して強いとされます。
≪土台・大引き・根太≫
土台(どだい): 基礎の上に置かれる水平材で、建物全体の荷重を基礎に伝える役割を担います。基礎と柱をつなぐ重要な部分です。
大引き(おおびき): 床組の主要な構造材で、土台と平行に配置され、床の荷重を分散します。根太(ねだ): 大引きの上に垂直に配置される細い材で、床板を支える役割を持ちます。
≪柱≫
管柱(くだばしら):建物全体を支える垂直の構造部材です。建物の上部からの荷重(屋根や上階の重量など)を直接支え、その荷重を基礎や地盤に伝える役割を担います。
通し柱(とおしばしら): 1階から2階(場合によっては屋根)まで貫く、建物の主要な柱。
隅柱(すみばしら): 建物の四隅に位置する柱で、建物の角を支える重要な役割を果たします。
≪梁(はり)≫
大梁(おおばり): 建物の主要な荷重を支える太い梁で、主に1階と2階、または2階と屋根の間に配置されます。
小梁(こばり): 大梁にかかる荷重を分散するために使用される、比較的細い梁。床や天井の下地としても使われます。
≪桁(けた)≫
桁は柱と柱の間に水平に渡される部材で、主に屋根や上部構造の荷重を分散させて支えます。
≪胴差(どうざし)≫
柱と柱の間に水平に配置される部材です。建物の外周部に配置され、外壁を支える役割を持ちます。
≪ 筋かい・間柱・火打ち梁≫
筋交い(すじかい): 柱と柱の間に斜めに渡される部材で、地震や風の力に対する耐久性を高めるために使用されます。筋交いの入った壁を耐力壁と呼び、壁の解体で筋交いを撤去する場合は、新しい筋交いの設置や補強材の追加など、建物の状態や必要性に応じた対策が必要になります。
間柱(まばしら): 壁の中で、柱と柱の間に配置される細い柱で、主に壁材の支持に用いられます。
火打ち梁(ひうちばり): 建物の隅に対角線上に取り付けられる部材で、水平構面の剛性を高め、建物のねじれを防ぐ役割を持ちます。
≪棟木・母屋・垂木≫
棟木(むなぎ): 屋根の最上部に水平に配置される梁で、屋根の両側を支える中心的な部材です。
母屋(もや): 棟木と平行に配置される水平材で、屋根全体の荷重を分散させます。
垂木(たるき): 棟木や母屋に対して垂直に配置される部材で、屋根の傾斜部分を形成します。瓦や金属板などの屋根材を支える役割があります。
野地板(のじいた): 垂木の上に取り付けられる板材で、屋根材を直接支える下地となる部分です。
これらの部材が組み合わされることで、在来木造の建物は強度と安定性を持つことができます。リフォームや修理の際に、これらの部材がどのように機能しているかを理解することで、適切な工事内容を把握しやすくなります。
【 外装部】
≪屋根・庇・霧除け≫
屋根(やね):建物の最上部にある、雨や雪、日光を遮るための部分です。屋根材には瓦、スレート、金属板などがあります。
大屋根(おおやね):その名の通り屋根の中でも大きい屋根のことです。 一般的なお住まいでは2階部分の屋根が大きいため2階の屋根を大屋根といい、1階の屋根を下屋(げや)といいます。
庇(ひさし)・霧除け(きりよけ):窓や玄関の上に取り付けられる小さな屋根のことをいいます。
≪外壁≫
家や建物の外側にある壁。サイディング、モルタル、タイルなどが使用されます。
≪軒天(のきてん)≫
屋根の裏側で、外壁から外に突き出た部分の天井です。雨風から建物を守る役割があります。
≪破風(はふ)≫
切妻屋根(山形に2つの斜面からなる形状の屋根)にある斜めの雨どいが付かない部分の板のところ。
≪鼻隠し(はなかくし)≫
屋根の先端部分で、雨樋がつく方の軒先の先端の水平に取り付けられた板の部材。分かりやすく言うと雨どいがついている板の部分です。耳なじみがない言葉なので上記の破風とまとめて呼ばれることもあります。
≪雨樋(あまどい)≫
屋根から流れる雨水を集めて地面に排水するための樋です。
【 内装部】
≪天井・野縁・軽天≫
天井(てんじょう):室内の上部を覆う面で、洋室はクロス(壁紙)やジプトーン(化粧石膏ボード)などで仕上げられます。見積書には下地の骨組みも含んで天井と記載される場合があります。
野縁(のぶち):天井下地となる骨組み
軽天(けいてん):スチール製の骨組み材を使って天井を作る工法
≪内壁・間仕切り壁・腰壁・下がり壁≫
内壁:室内の仕切りとなる垂直な面です。クロス(壁紙)、繊維壁や砂壁(左官塗りで仕上げた壁)、木目柄の化粧板などで仕上げられます。
間仕切り壁:部屋と部屋を仕切るための壁のことです。
腰壁(こしかべ):腰ぐらいまでの高さに立ち上がった壁。
下り壁(下がり壁):天井から垂れ下がった壁
≪床≫
室内下部の面で、天井や壁と合わせて室内空間を構成する役割を担っています。見積書には根太などの下地部分からフローリングなどの床仕上げ材まで含め「床」と記載される場合があります。
≪土間≫
玄関などのように、床を張らずに土足で歩くように造られた空間のこと。コンクリート、タイルなどで仕上げたものもあれば、単に土を固めたものもあります。浴室などのコンクリートやタイル貼りの床面も土間と呼びます。
2.建築に使われる用語
リフォーム工事の見積書に使われる建築用語には、一般の方には馴染みが薄いものも多いですが、理解することで見積書の内容をより正確に把握することができます。以下に、リフォーム工事見積書でよく使われる建築用語を紹介します。
【解体工事で使われる用語】
斫り(はつり):コンクリートで作られた壁や土間などを壊した後、形を整えるためにきれいに表面を鑿(のみ)で削ったりすること。 床面のタイルなどをコンクリート床から剥がすことも「斫り工事」といいます。 手作業になるため、余分に費用が掛かる場合があります。
ガラ:コンクリートなどの破片をガラと呼びます。
アスベスト:天然にできた鉱物繊維のことで、耐火、断熱、防音の目的として使用されていました。健康被害が明らかになった1975年に吹き付けアスベストの使用が禁止され、2006年以降は、0.1%以上含まれているものがすべて使用禁止になりました。飛散性を有するアスベスト廃棄物については、収集、運搬、処分等の基準が定められています。
マニフェスト(産業廃棄物管理票):解体工事等によって出た産業廃棄物の排出事業者(元請業者)が、その運搬や処理を他の業者に委託するにあたり、その過程を管理票に記録することです。
【木工事に使われる材料】
≪合板・ボード≫
合板(ごうばん):丸太をスライスして薄い板を作り、その板を繊維方向が1枚ずつ直行するように接着剤を使って貼り合わせた板のことをいいます。
構造用合板(こうぞうようごうはん):構造上、重要な壁や床などに使われる合板です。主に、針葉樹で造られた合板が外壁下地材・床下地材・屋根下地材として用いられています。
ラワンベニヤ:広葉樹であるラワンを薄くスライスした単板を互い違いに接着剤で貼り合わせて作られた合板のこと。
コンパネ:コンクリートパネルの略称で、正式名称は「コンクリート型枠用合板」です。
パーチクルボード:木材を細かく切削した木片、に合成樹脂接着剤を加え成形した板状の製品で、主に床や壁の下地材として使われます。サイズが大きいチップで作られたものはOSB(オリエンテッド・ストランド・ボード)と呼ばれ、壁下地などで使われています。
石膏ボード(せっこうぼーど):石膏を芯材として両面を石膏ボード用原紙で覆い、板状に加工した内装材料です。防火性、遮音性、寸法安定性、工事の容易性などの特徴があり、壁や天井の下地材として幅広く使用されています。別名プラスターボード(PB)とも呼ばれています。
強化石膏ボード(きょうかせっこうぼーど):せっこうの芯にガラス繊維などを加えて耐火性能を強化したボード。 建築基準法の耐火構造、準耐火構造、防火構造材料として使用されています。
≪フローリングの種類≫
見積書にはメーカー名と製品名が記載されることがほとんどですが、製品の性能を知っておくことも必要です。
捨て貼り工法用:フローリング材の下に12㎜の構造用合板の下地補強が必要な床材で、現在はほとんどの商品がこの捨て貼り工法用となっています。
根太工法用:根太の上に直接張れる床材。
直貼り工法用:コンクリートスラブに専用接着剤で張るタイプで、LL-45やLL-40などの遮音性能を持った床材などがあります。
無垢フローリング:本物の木を使った床材。
複合フローリング:木材や合成材でできた床材のことで、表面に本物の木を薄くスライスしたものを貼りつけた突板仕上げ、木目がプリントされた化粧シートを貼りつけたシート仕上げがある。
≪捨て貼りとは≫
フローリングの下地補強として貼ってある合板のこと。
フローリングの下はどうなているかというと、基礎の上に土台、土台に渡すように大引、大引きの上に根太)根太の上に捨て貼り合板、フローリングという構造です。土台は12㎝×12㎝や10.5㎝×10.5㎝の木材が使われることが多く、大引きは主に9cm × 9cm や 10.5cm × 10.5cmの太さの木材を使い、これを91cm間隔で置いています。その上に、4.5cm × 4.5cm程度の太さの根太を、303mm間隔で置いていき、その上に構造用合板(針葉樹で造られた合板)12㎜を張り、フローリングを張ります。
≪乾式2重床とは≫
コンクリートの床スラブの上に高さ調整機能のある金属またはプラスチック製の足(支持脚)を立ち上げて、その上に水平な床を造る構造で、湿気や冷気から住空間を遠ざけ、各種配管を柔軟に床下に回すことができる機能的な床のこと。置床と呼ばれることがあります。
≪巾木(はばき)とは≫
壁と床の境目に取り付けられる細長い板。床材と壁材の接合部を隠し、美観を保つ役割があります。
≪廻縁(まわりぶち)とは≫
天井と壁の境目に取り付けられる装飾材。天井と壁接合部を隠し、幅木と同様に美観を保つ役割があります。
≪見切り縁とは≫
異なる材料同士の境目を仕上げるための部材。クロスとタイル、フローリングとCFなどの接合部に使用されます。
≪クロスの種類≫
壁や天井に貼る壁紙のことで、素材はビニールクロスが一般的です。紙クロスは素材が薄いため、下地の調整など別途費用がかかる場合や施工できないこともあるので事前に確認が必要です。
量産品クロス:文字通り量産されているクロスで価格は安価。
1000番クロス:定価が1000円~1100円のクロス。
機能性壁紙:除湿や消臭、汚れ防止などの機能があるクロス。
リピード柄:柄にパーターンがある壁紙で、柄合わせのため通常のクロスより多く材料を必要とします。お見積書にリピート柄別途と記載がある場合があります。
【設備工事で使われる用語】
≪給排水工事≫
樹脂管(架橋ポリエチレン管・ポリブデン菅):給水、給湯、追い炊き配管に使う材料です。施工性の良さと錆などによる漏水の危険性が少ないため、今年主流となっています。
鉄管(鋼管):以前は給水の配管に使用されていましたが、赤さびが出るため近年ではあまり使われていますん。
銅管:給湯や追い炊きの配管に使われている材料で、腐食などで漏水の危険もあり、こちらも近年あまり使われていません。鉄管(鋼管)や銅管を使用している古い建物では、配管の入れ替えも同時に検討しましょう。
≪電気工事≫
分電盤:「分電盤」という言葉は聞きなじみがなくとも、「ブレーカー」という言葉を聞いたことがある人は多いかもしれません。分電盤は電気を分配する機器全体のことを指し、ブレーカーとは、その中にある電気を遮断する装置のことを指しています。
単独配線(専用配線):エアコンや電子レンジなど分電盤から専用の配線を引く工事。
ダクト配管:新しく設置するユニットバスやキッチンの換気扇の排気用ダクト工事。
3路スイッチ配線:2か所で入り切りできるスイッチの配線工事。プロペラファン:プロペラファンで換気フードから直接外に排気するタイプの換気扇。
シロッコファン:排気用ダクトを通して外に排気するタイプの換気扇。外の風圧の影響が少ないのがメリット。
給気口:キッチンやお風呂などの換気を使い、室内に給気を取り入れるための設備。
【塗装工事で使われる用語】
溶剤形塗料:シンナーなどの有機溶剤で薄めて塗りやすくした塗料の総称です。油性塗料も呼ばれ、乾燥性、塗装作業性に優れており、シームレスな塗膜が得る事ができます。
水性塗料:水道水で希釈して塗りやすくした塗料の総称です。主成分は樹脂や顔料などの固形成分が水に溶けており、塗装後に水が蒸発して乾燥することで塗膜が形成されます。油性塗料と比べて臭いが抑えられています。
錆止め塗料:鉄や銅などの金属が錆びるのを防ぐ塗料です。 錆を防ぐために防錆剤(ぼうせいざい)が入った塗料を塗ります。
高圧洗浄:高圧洗浄機を使って、外壁や屋根‥に付着している、チョーキング、砂塵、汚れ、苔、藻、カビなどを洗い流しキレイする作業の事です。
ケレン:塗装面の錆、ホコリ、旧塗膜を除去する作業の事を言います。
あく洗い:建築木部の雨漏りやシミ汚れ、焼けなど 苛性ソーダなどの「灰汁」で汚れを浮かせ、その後に酸性薬品によって中和させて、木部を元に近い状態に戻す作業の事を言います。
タスペーサー:屋根塗装の際にスレートとスレートの間に挟み込む材料で、屋根材同士の隙間を確保する役割があります。屋根の通気や排水を可能にし、塗膜が雨水の通り道をふさぐのを防ぐことで、雨漏りや結露を防止します。
3工程:下塗り、中塗り、上塗りの3工程で仕上げる。中塗りと上塗りは同じ材料を使い仕上げます。
2回塗り:同じ塗料を2回塗ること。
養生:塗装しない部分を、シートやビニールなどで覆い、汚れない様にする事です。
【屋根葺き工事で使われる用語】
スレート葺き:スレートはセメントモルタルに石綿や繊維物質を補強材として混ぜて加圧成型したもので、カラーベストやコロニアルとも呼ばれます。
金属葺き:金属板を使用した屋根を金属屋根といいます。古くはトタン、現在はガルバリウム鋼板を用いた屋根が主流です。
棟板金:屋根の頂点にある金属製の板金で、屋根材の隙間を塞ぎ、雨などを防ぐ役割を担っています。尖った山のような形をしています。
野地板:屋根の下地材として使用される木材や板のことです。垂木という木枠の上に野地板を張りつけ、その上に防水シートや瓦やスレートなどの屋根材を乗せます。
ルーフィング:屋根材の下に敷く防水シートのことです。材料の総称アスファルトルーフィング940または「田島ルーフィング」などのようにルーフィングのメーカー名が記載されているケースもあります。
カバー工法:現状の屋根材の上から新しい屋根をかぶせる(カバーする)工法のことです。例えば、既存スレート屋根の上に仕上げ材に金属屋根を使う場合、既存のスレート屋根の上にルーフィング(防水紙)を貼り、その上に軽い金属の屋根を張ります。仕上げ材にスレートを使う場合は、既存スレート屋根の上に12㎜の構造用合板を張ってからルーフィング、スレート葺きの順になります。
【サイディング工事で使われる用語】
窯業系サイディング:セメントを主原料とした外壁仕上げ材です。製造工程において窯の中で高熱処理されることから窯業系と呼ばれています。
金属サイディング:金属製の素材を使った外壁材です。軽量なので住宅への負担が少ないため、地震の際も倒壊する確率が低くなります。 同質出隅:建物の出隅(角の部分)を外壁材と同じ出隅部材で仕上げること。出隅部材を役物とも言います。
土台水切り:外壁の一番下に取付けられた金属製の板で、外壁を伝って流れてくる雨水が土台や基礎の中へ入り込むのを防ぐために取付ける材料です。
オーバーハング水切り:オーバーハングとはベランダなどのように一階よりも上の階が張り出した形状のことで、その下端に設置されている金属をオーバーハング水切りといいます。
透湿シート(透湿防水シート):湿気は通しますが水分は遮断する機能性シートです。雨水や結露を遮断する一方で、室内の湿気は屋外に逃がすことで、住宅建材の結露や雨漏り防止などに活用されています。
胴縁:サイディング工事における胴縁とは外壁の仕上げ材を固定するための下地材のことで、板状のものを指します。
シーリング工事:外壁やサッシなどの目地や隙間を接着性のあるシーリング材で埋めて、防水性能や機密性を確保する工事です。
【左官工事で使われる用語】
金ゴテ仕上げ(金ゴテ押さえ):土間や壁面を上から金ゴテで押さえ、表面を平滑に仕上げる工法。
刷毛引き:刷毛を横に引いて、横線模様を施していく工法です。駐車場などでよく用いられる工法で、刷毛目を入れることで滑りにくくなります。
ラス網:モルタルの剥落を防ぐために、モルタル下地として使用される金網の事です。
アスファルトフェルト:フェルトにアスファルトを浸透させて作られた防水・防湿材で、外壁の下地として使用されます。
3.見積書の見方
【表紙】
①工事費合計金額
材料費、工事費、諸経費、消費税などすべての費用が合計されています。
⓶見積書作成日
見積書を提示する日付(発行日)として記載します。送付した相手に届いた日ではなく作成した日付となっています。
③工期
工期が決まっている場合は、着工から工事完了までの期間が記載されます。
④見積書有効期限
原材料の価格変動や人件費の高騰などの原因で起こる赤字受注を回避するために有効期限が決められています。
⑤支払い条件
支払いのタイミング(着手時、中間、完了時など)が記載されています。
⑥備考欄
本見積書に含まれない別途工事の内容や免責事項、パンデミックによる工期延長などの注意事項が記載されます。例えば、以前より雨漏れしていたケースなどでは「本工事は雨漏れの防止を保証するものではありません。」などのような免責事項などが記載されます。
【内訳書】
①工事項目ごとの合計金額
リフォームする部位ごとに、例えば「キッチンリフォーム」、「バスルーム改修」、「フローリング張替え」など、工事項目と工事項目毎の合計金額が記載されています。
⓶諸経費
材料の運搬費、有料駐車場の使用料、工事の進行管理にかかる現場管理費、現場の整理整頓費とそれにかかる廃材処分費など、工事に直接関係しないが不可欠な費用です。
③値引き
交渉やキャンペーンによって適用される値引き額が記載されていることがあります。
④消費税
合計金額に消費税が別途加算、その額が明記されています。総額を確認し予算と照らし合わせましょう。
⑤合計金額
材料費、工事費、諸経費、消費税などすべての費用の合計金額となります。この金額が表紙に転記されます。
【内訳明細書】
①工事項目
例えば「キッチンリフォーム」、「バスルーム改修」、「フローリング張替え」など、工事項目が記載されています。この工事項目が内訳書に転記さます。
⓶工事内容・使用材料
工事内容や使用する材料名などが記載されています。例えばフローリング工事の場合、使用する材料名「フローリング材」「床見切り材」、工事内容「フローリング張替え」など
③仕様
使用する材料の詳細や工事内容の補足説明が記載されています。例えば、フローリングの下地材として「12㎜構造用合板」、壁の下地材として「12㎜石膏ボード」など、どのような材料を使うかが記載されています。工事の全体的な品質を高めるために、下地で使われる材料などの記載があるか確認しましょう。
④数量・呼称
それぞれの工事項目に対応する作業量や材料の量が示されています。単位の呼称としては「m」「m²」「m³」「坪」「台」「個」「本」、セット商品の場合「セット」、㎡単位が使えない小面積や複合的な工事場合「式」などが使用されます。各工事の対象面積や数量が記載されます。たとえば、「フローリング張替え 50m²」などです。また、面積が少量の場合などは「フローリング張替え一式」のように単位が一式となる場合もあります。
⑤単価
各項目における1単位あたりの費用です。例えば「1m²あたりの張替え費用」などが書かれています。フローリング材などの定価のある商品の場合の単価は「1ケースあたりの定価×お客様に提供する掛け率」となっています。
⑥金額
「数量 × 単価」で計算された各項目の合計金額です。
⑥備考欄
注意事項や値引き率などが記載されています。
⑦計
このページの工事の合計金額です。内訳書にこの金額が転記されます。
4.見積書を見る上で大切なこと
工事中または工事完了後、工事内容や品質について意見の相違が発生した場合のトラブルを避けるためにも、以下のポイントに注意することが重要です。
【 工事内容の詳細】
見積書には、どの部分をどのようにリフォームするのか、具体的な工事内容が明記されているか確認します。例えば、フローリング工事の場合、「フローリング撤去」「根太撤去」などのようにどこまで解体するか、「根太組」「捨て貼り」「フローリング張り」などのように工事内容が細かく記載されていることで、工事後のトラブルを未然に防ぐことが出来ます。
【使用する材料の明記】
使用する建材や設備のメーカー、型番、仕様などが記載されているか確認しましょう。これにより、品質や耐久性を把握でき、後々のトラブルを防げます。例えば、フローリングの下地合板(捨て貼り)「12㎜構造用合板」、内壁の下地「12㎜石膏ボード」などのように、床や壁など下地に使われる材料の種類や厚みなども記載されているか確認しましょう。
【 数量と単価】
それぞれの項目に対して、どのくらいの数量を使用するのか、またその単価が明記されているか確認します。これにより、全体の費用がどのように算出されたか理解できます。
【工事費用の内訳】
工事費用が「材料費」「施工費」「諸経費」などに分かれているかを確認します。これにより、どの部分にどのくらいのコストがかかっているのかがわかり、適正価格かどうか判断しやすくなります。
【追加工事の有無と費用】
基本の工事費用に含まれていない追加工事が必要になる場合、その費用がどのように計上されるか確認しておくことが重要です。見積書に追加工事の条件や費用が明記されているか確認しましょう。
5.契約前に確認すること
【計画図・仕様書】
大規模な工事では、見積書のほかに補足資料として計画図や仕様書が作成されます。見積書に記載しきれない内容が記載されており、見積書だけでは解りにくい工事内容の詳細や使用する材料の仕様の確認に必要です。計画図や仕様書に記載された内容は見積書に記載がない場合でも優先されるので、計画書、仕様書の有無はの確認は大切です。
【保証やアフターサービス】
工事後の保証内容や、アフターサービスの有無についても確認しておくことが大切です。保証期間や範囲、対応の条件など保証書などがあると安心です。
【工期(工事の期間)】
工事がどれくらいの期間で完了する予定か、またその期間中にどのような段階で作業が行われるかを確認します。特に住みながらリフォームを行う場合、工期が長引くと生活に影響が出るため、工期の確認は重要です。
【支払い条件】
支払いのタイミングや方法についても明確にされているか確認します。契約金、着工金、中間金、最終支払いなどのタイミングや、分割払いの可否、支払い方法などが明記されていると安心です。
【消費税の扱い】
見積書に記載されている金額が消費税を含む総額かどうか、また消費税が別途計上されている場合、その計算が正確かどうかも確認する必要があります。
【 契約条件や特記事項】
工事に関する特別な条件や、契約に関わる事項が記載されているかを確認します。例えば、キャンセルポリシーや支払い遅延時のペナルティなども含まれることがあります。
6.まとめ
見積書の内容をしっかり確認し、理解できない点や不明な点があれば、必ず業者に質問してクリアにしておきましょう。複数の業者から見積もりを取って比較することが重要です。同じ工事内容でも業者によって費用が異なることがあります。
工事の範囲が曖昧な場合、後で追加費用が発生することがあります。工事範囲と使用する材料の詳細を確認し、契約書に明記することが重要です。工事中に追加で費用が発生する場合もあるので、契約前にその可能性について確認しておきましょう。
見積書の内容をしっかりと理解し、納得した上で契約を進めることが、トラブルを避けるための重要なステップです。リフォーム工事の見積書をしっかりと理解することで、予算の管理や工事の進行をスムーズに行うことができます。
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★ご挨拶★
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